初めてのハッカソン

betterplace Lab x Peace Innovation Lab Berlin が共催する3日間のハッカソンが終りました。ドイツ拠点のクラウドファンディングプラットフォーム betterplace.org への寄付をより魅力的に、ユーモラスに、日常の行動の一部にするためのハッカソン。デベロッバー、デザイナー、クリエイター、起業家、コンサルタントなど異業種の人たちが集まり、アプリケーションやウェブのアイディアを持っている人たちを中心にチームを作り、コンセプトメーキング、デザイン、モックアップ作成、発表という流れでした。

なぜ参加することになったかと言うと、Peace Innoation Lab Berlinを運営している友人がフェースブックでイベント告知しているのを見つけたのが始まり。私がベルリンで取り組んでいるアートプロジェクトが、クラウドファンディングを使わず、自分が育てたコミュニティを基盤に、愛情と信頼関係をすでに築いた仲間同士でお金を贈り、受け取り、流すという、お金の意味づけを転換させる社会実験なので、なにか関係あるかなーと思って申し込みました。

意外なことにドイツでも60%の人は寄付をしないそうで、どうやって「お金を出す」文化を根付かせるか、アメリカやイギリスの先進的例を参考にするあたりは日本と似たようなポジションなんだなーと学びました。

How can we make donations sexy?
How can we make donations interactive?
How can donating add value to the person giving?
How can donating be integrated into our daily routines?
How can we attract the 60% of the Germans, who have never donated?
How can we improve products and services through donations?
How can we catapult donations to the next level?

数々のアイディアピッチが行なわれた後、晩ご飯を食べながら(Abendbrot-夜のパン−が「夕飯」という意味になるドイツらしい、パンとチーズとハム!)興味あるアイディアの人と話したり、似たようなアイディアのグループで合流したり、自発的にチームを作っていき、夜9時過ぎからチームに分かれて作業が始まりました。

私は「お金はもはやセクシーじゃない!時間をドネーションしよう。」というアイディアを出したアルバニア人のチームに入ることにしたよ。アルバニア人、ドイツ人、スロベニア人、日本人という色彩豊かなメンバーです。寄付はワンクリックで済んでしまう瞬間的なトランズアクション。でも、必要なのは共感する気持ちと継続的に支援するコミットメントだよね。そのためには、お金を出す、プロボノを提供するという行動に移る前に、まず興味を抱き、もっとプロジェクトのことを知れて関係性を構築できるスキームが入ればいい。Attention(意識)を傾ける時間をまずは作ろうじゃないか、というのがベース。

クラウドファンディングのためのスマートフォンアプリケーションをデザインする場に立ち会うことになるなんて想像もしていなかったのですが、やってみると単純に面白かったし、私みたいにIT,Fab, Makersのような「タンジブルなものを作る」ことから縁遠い人間でも、チームメンバーとして役割を持って、開発フェーズに付き添えると体験できてよかったです。

やっぱり私の強みは、人が発信したいアイディアの裏にある情熱や思想を掘り出し、ロジックフロー(ストーリーライン)を立て、それをしっかり創作物のデザインに反映させるために、チーム内でコミュニケーションを深く、リズミカルにしていくプロセスデザインだなと実感しました。つまりほんとに初期フェーズ。モックアップを作って試したり、プレゼン資料を作るのは、建築家、医療系テクノロジ—事業家、エンジニアのチームメンバーがやってくれました。私は横から色々言ってるだけw

プロジェクト名はどうする?ロゴは?タグラインは?キーカラーは?

このアプリケーションで一番達成したいことは何?

どうしてそもそもこのアプリケーションを作りたいと思ったの?

国籍も言葉もバックグラウンドも違う初対面の人と、いきなりブレストし、デザインし、成果物を作るのは容易ではないけれど、人間誰しも譲り合うし、人の話を聞いてくれるし、説得しようとするし、こういうのがカッコいいよね、とか、こういう方がもっと人間らしくていいよね、とか、共有する基盤がある。

過去にcross-cultural/Inter-cultural communication理論を学び、global communicationとは何かを研究テーマにしたことがある。そうした知識と多国籍チームでの活動経験を鑑みると、短期的、あるいは連続性のない小さい組織(チーム)活動においてはglobal communication能力がより必要になる。中長期で継続的に活動し、そのため組織にストラクチャーが入ってくるとcross-cultural differenceやinter-cultural relationshipの要素がどんどん大きな役割を占めてくるのかもなー、という所感を覚えました。