Performative通訳

新しい通訳の形を提唱します!

パフォーマティブ通訳。

私は逐次通訳のお仕事もしています。従来の通訳 ー例えば、ビジネスにおける提案や交渉時に求められる、淡々と言葉の意味を汲み取り、どちらかと言えばパーソナリティーを取り除いた平面的な通訳ー は依頼されれば、もちろんお引き受けします。この前も、日本の市場に参入したい米企業が、日本での事務局を代行してくれる日系企業に対してRFPを募集していて、その提案書プレゼンの通訳をしました。

でも「コミュニケーション・プロセス・デザイン」という切り口から見た通訳は、この淡白型(descriptive) 通訳とはちょっと違うんです。

それがパフォーマティブ通訳。

これは、

  • 自己の内面や他者との「対話」を重視するワークショップなど
  • 強い存在感や雰囲気を持つ人がスピーチする時
  • それらが外国語(私の場合は英語)で行なわれる時

に必要な通訳だと考えています。

こういうケースでは、通訳士の役目は、単に通訳する相手の言葉(その背景に潜む文化的コンテクストも含めて)を日本語として意味を成すように訳していくだけでは足りないと思っています。なぜかと言うと、話し手の根底にある世界観や理念、話にはのぼらないけれど話し手が日々関わっていることなどを通訳士が理解し、共感し、話し手が言外で伝えるユーモアや情熱といったメッセージをも通訳の中に含めていかなければ、意味が半減してしまうからです。「言葉」だけに集中し、話し手の人柄、生き方などを軽視した通訳では、価値がまったくなくなってしまうことだってありえます。

だから、話し手の熱のこもった声や、興奮してきらきらと潤んだ目までも伝えるパフォーマティブな通訳がいてもいいんじゃないかなーと思っています。

パフォーマティブ通訳をする必須条件としては、

  • 私自身が、通訳する相手の哲学を理解、共鳴している
  • 組織開発やコミュニケーションなどの同じ畑にいる、あるいは似たようなビジョンの元で活動している

といった点です。

ここがクリアしないと、私が気持ちを込めて語りかけることができないから。

これまでこんな人たちの通訳をしてきました。

外国の人が日本人に何かを伝えたい、日本人が外国の人の話を聞きたい、(またこれらの逆)、というコミュニケーション欲求を満たすのが通訳。だから、通訳も「コミュニケーションのプロセス」だと思います。そのプロセスをいかにデザインするか。それが私の通訳の在り方です。

とかなんとか言って、通訳しながら、勝手に自分の想いを話しているみたいな錯覚に陥って興奮してしまうだけだったりするんですが。