TEDxTokyo meets TEDxCopenhagen

毎度ながらブログをアップデートするのがのろのろですが、3月12〜21日までデンマークに行っていました。主な目的は、私がコアメンバーとして活動しているR水素ネットワークのお仕事(また別エントリーでブログ書きます)。その前後にちょこっと時間を取ってコペンハーゲンと南スウェーデンを見て回りました。

コペンハーゲンの街並みコペンハーゲン中心街

美術館・ブラッグダイアモンド

コペンハーゲンの第一印象は、スカンジナビアの質実剛健で生真面目なところと、西ヨーロッパの小粋で開放的なところが絶妙に混ざり合っている感じでした。行き交う人びとは「どこで買ったの?」と思わず声をかけたくなるようなスタイリッシュなブーツや斬新なカットをしたコートを着ていて、帽子とスカーフなどの小物使いも上手。でも、乗っている自転車は前にカゴのついた、日本でもお馴染みの古ーーい年期の入ったママチャリだったりして。そう、自転車の多さには驚きました!アジア並み。だけど几帳面なお国柄なのか、赤信号はしっかりとラインの内側で待ち、しかも一台一台ちゃーんと列を作っている。こういう何気ない人びとの行動習慣を発見していくのが、旅先の楽しさでもあります。

無防備に停められた街角の自転車

出発の2日前、せっかくコペンハーゲンまで行くのだから誰かと会いたいなと思ったけれど、デンマーク人に直接の友達はいませんでした。「んー、どうしよ。」とちょっと考えて、「TEDxCopenhagenのオーガナイザーに会ってみよう。」と思い立ちました。早速、TEDxCopenhagenのウェブサイトの連絡フォームにメッセージを書き込んでみると、「TEDxはこうやって世界にネットワークを広げてくれて嬉しい。ぜひ会おう!」という返信がfounderの人から直接届きました。出発直前に届いてよかった。「やったぁぁぁ♪」と小躍りしながらパッキング。founderの名前はLærkeと書いてありましたが、性別も発音の仕方もいまいちわからないまま出国。あとから教えてもらったのですが、Lærkeとは英語のLark、「ひばり」ちゃんだそうです。

成田から直行便のSUSでコペンハーゲンまで9時間弱。思ったより全然近かったです。ちょうど成田ーサンフランシスコがこんなものなので、機内に入って2時間して最初の食事、それから寝て2回目のご飯で起こされて、食べて1時間くらいしたら着陸、という慣れたコースでした。着いた日の午後はロイヤルコペンハーゲンの経営するカフェに行って、ロイヤルコペンのカップでおいしいカフェラテを飲みながらフリーwifiを満喫。夜はGreen Drinks Copenhagenも行なわれているというオーガニックレストラン、BioMioでディナーをして終了。

ロイヤルカフェ

翌朝、Lærkeが愛用のグリーンの自転車に乗って宿まで迎えに来てくれました。小柄なアジア人女子は私しかいなかったので、ロビーですぐに見つけて声をかけてくれました。Lærkeは真っ白くふっくらとした頬、きゅっとした鼻、淡いプラチナブロンド、「the 北欧」といった容姿の女性。中心地から少し西に外れたところ(と言ってもコペンハーゲンは小さいので徒歩圏内ですが)にある彼女の行きつけのカフェでデンマーク風ブランチをいただきました。

ハニーヨーグルトおいしかった!

午後は市内を横断するようにお散歩。Lærkeが働いている会社、Wemindのオフィスにも連れて行ってくれました(偶然にも彼女は私と同業♪)。これがまた、北欧ってこうよね!というイメージそのもの。古い建物の内部がリノベートされた、広いステュディオタイプのオフィス内に、洗練されたモダンな家具とアートが無造作且つセンスよく配置されている居心地のいい空間でした。羨ましい。

オフィスのあるビルのドアを開けるLærke

ああ、広い!

前に借りていた人たちはアーティストだったらしく、壁には絵が描かれていました。

電柱と切れた電線

キッチンには小鳥たち

マガジンラックと古いラジオ

トイレのドア

この空間の取り方は日本人にも似てる

このエッジのきき方がコペンハーゲンか

ポストイット

薪で埋め尽くされている壁

土曜日だったので、Lærkeはこのスペースを解放してヨガワークショップを企画しており、続々とコペンハーゲンのヨーギ達がやってきました。というわけで私は、仕事が終了してからLærkeと再会することを約束してオフォスを後にしました。TEDxオーガナイザーとしての繋がりだけでなく、今後、お互いの国で仕事のプロジェクトを起こそうと盛り上がりました。楽しみだな〜。

ネットワーク作り。そこからチャンスを生み出す。

今日はサンフランシスコ・ベイエリア時代からずっとお世話になっているmentor, Kimberlyとお夕食@汐留。Kimberlyはここ数年、日本の企業に向けてグローバル・リーダーシップ・トレーニングを行なっています。彼女のプロジェクト・マネージメントについての本が日本語にもなって出ています。

Kimberlyは、もうひとりの女性コンサルタントJeanneと共に、院生だった私に大きなチャンスを与えてくれた人。見ず知らずの私をトレーナーとして雇ってくれたんです。場所や物品スポンサーもしてくれました。というわけで、そのストーリーを振り返りながら、ネットワーキング術と、ネットワークを作ったはいいけど、そこからどうやってアクションを踏むの?というtipsを少しまとめてみようかな。

Kimberlyとの出会いのきっかけはサンフランシスコ市内で行なわれたフランス商工会議所(だったけな)が主催しているinternational job fair。アメリカでのinternational job fairは、海外で働きたいアメリカ人や外国人留学生と、自国方面に戻りたいヨーロッパ留学生のためのもの。当時はアメリカにステイ or ヨーロッパかアジアにホッピング、という就職オプションだったので参加しました。

そこで行なわれていた複数のワークショップの中で興味を惹いたのがJeanneのもの。彼女はフランスで某グローバル企業のためにバーチャル(オンライン)グローバルチームのチームビルディングを担当、そのケーススタディーを紹介していました。私は大学生の時からオンラインコミュニティを育てたり、日米に分散した顔も合わせたことがない人たちをメーリングリストだけでプロジェクトマネージメントするということをやってきていたので「ビンゴ!」なテーマ。ワークショップ終了後、早速彼女に駆け寄り軽く自己紹介すると、「私もあなたに相談したいことがあるから座って話そう」と初対面にもかかわらずそう言ってきました。

話を聞いてみると、日本の研修/教育コンサルティング会社に依頼されて、グローバルリーダーシップ育成プログラムを手伝うことになり来週東京に下見に行く、ということでした。ただ、日本で仕事をしたことがないので日本のビジネス文化について知りたいから、彼女が所属するコンサルタントチームが実際に仕事を始める前に、ワークショップをやって欲しいというのです。そのチームを率いていたのがKimberlyでした。でもその後、詳細を決めるミーティングをしたのはJeanneとのみ。Kimberlyとは結局、ワークショップ当日まで会いませんでした。よくもまあ、得体の知れない会ったこともない学生を雇ったよね。これがベイエリア、シリコンバレーのベンチャー文化なんだなぁと今更ながら感心。

そんなわけで、それから2ヶ月後、KimberlyとJeanneのおかげで、アメリカを中心に世界各国で活躍する独立系コンサルタントや起業家たちにワークショップを開催しました。ワークショップ会場になったのはJeanneが住んでいた高級マンションにあるカンファレンスルーム。全面ガラスばりの大きな壁の向こうにはプールがあり、ワークショップ後は参加者と共にプールでチルアウト。こうあるべきでしょ、ビジネスワークショップ!

ネットワーキングをしてから実際のアクションに移るまでのスピードは、アメリカ人との方が日本人とよりも何百倍も速いのは確か。それは去年東京に拠点を移してから痛感しています。でも、日本でもちゃきちゃき話を進めていく人はいるので、「日本では無理」と諦めてはいけません。

というわけでポイントは

  • 自分にとってのright peopleが集まるネットワーキングの場に行く。自分と話がトントン拍子で進むタイプの相手、つまり相性のいい相手、というのがいます。そういうケミストリーが起こりそうな人が行く場所を見つけましょう。それは会場の雰囲気や自分の居心地の良さ、他の参加者の言っていることがスッと入ってくるかどうか、といった感覚的なところでわかります。「こりゃ違うな」と思ったら早々に退出。失敗イベント体験から、どんなイベントがより実りがあるか(適当にw)分析します。
  • 自分の強い関心(プロダクトやサービス、ビジネスアイディア)とネットワーキングイベントのテーマに明確な関連性があるものに行く。なんとなく興味深い、面白そうなイベントだと「いいネットワーク」は作れますが「実践的なネットワーク」に短期間で素早くなる確率は低そうです。
  • 最初の5分の会話の中で、自分がその場にいる理由(どんなネットワークが欲しくて、それを利用して何を達成したいのか。ビジネスゴールやキャリアビジョンはなにか)を言う。ネットワーキングイベントでは1人の人間と30分話し込むとは限りません。おもしろそうな人がいればいるほど、1人につき5分とか、ひどければ1分って場合もありえます。そんな数分間で鮮明な印象を残し、「あとでメールしよう」と相手に思わせるには、一言目から本題に切り込んでいくことが必須。でも、エレベーターピッチを紙に書いて練習する必要はありません。毎日、誰かに自分のやってること、やりたいことをぺらぺらしゃべっていると、ネットワーキングの場でもすらっと自分の考え、計画、ビジョンが口をついてくるようになります。
  • 初対面から10〜15分でお互いの方向性が大枠で同じだなと思ったら、1週間以内にきちんとしたミーティングを設定する。スケジューリングがうまくいかず、2週間以上空いてしまうようだったら、それは相手が自分とのミーティング=ディール・メーキングに対して低い優先順位をつけている(よっぽど企業のCレベルの人でもない限り)と考えるのが妥当。